多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

山﨑薬局にご相談に来られる不妊に絡むトラブルで最も多いのが「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」です。

きっと不妊で悩むお客様全体で見ても多嚢胞が原因で…という方は多いだろうと思います。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方が抱える問題

卵胞の成長・排卵までの期間が毎周期異なる

たとえ卵胞が成長する方であっても多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合は排卵までの期間が毎周期ばらばらです。

結果として卵胞チェックを受けていてもDr.のタイミング指示が外れてしまう事が多いのです。

見かけ上卵胞が十分発育していても排卵しない

卵胞チェックを受けていてもDr.の指示通りに排卵してこない(体温が上がらない)方が多くいらっしゃると思います。

 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が起きていると卵胞の大きさが21mmを超えていてもほぼ排卵しません。

これは卵胞の発育と比較して、卵胞の中の卵子の発育が遅れる事によりズレることが要因です。

結果として卵胞チェックを受けていてもタイミング指示が的中しにくい状況が生じます。

この事はタイミング治療の際だけでなく、人工授精、ひいては体外受精の胚盤胞移植タイミングまで、全てに影響してきます。

卵胞の発育が止まる

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で一番多い現象が

✔ 11mm程度の卵胞までは発育するが、それ以上大きくならない。

✔ 11mmほどの卵胞がネックレスサインを形成し、生理が止まってしまう。

という状況です。

 

卵巣に排卵できない11mm~13mmほどの卵胞がたくさん出来てしまっていると、卵胞はそれ以上発育も排卵もできなくなります。

結果二ヶ月近く生理が止まってしまい、病院で生理を起こす薬を処方してもらい生理は来たが、やはり二ヶ月経過しても生理が来ない。

多嚢胞性卵巣症候群ではこのような状態が起きやすくなってきます。

病院での多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の対応

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対して現在の病院の治療指針では「まず排卵誘発剤を試す事」となっています。

なので多くの場合、多嚢胞性卵巣症候群が判明するとレトロゾールやクロミフェンを始めとする排卵誘発剤を利用します。

 

排卵誘発剤を服用すると、脳の視床下部にあるE₂受容体に卵胞由来の本来のE₂を押しのけて排卵誘発剤が結合します。

しかし排卵誘発剤によるE₂作用はほとんど無いに等しいため、視床下部は「E₂の分泌が減っている」と勘違いした認識をします。

結果、脳下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が増え、卵胞へのE₂分泌の刺激が強くなり、卵子の発育が促進される、とつながります。

 

この方法は確かに卵胞の発育を強力に促進します。

しかし卵巣にとっては毎周期強い刺激を続ける事になります。

結果として早晩E₂の分泌力が低下し、さらに強い刺激を行わないとE₂が分泌できないと行った状況が生じてくるのです。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と漢方

まず生理を起こす

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の重症度として私が見ているのはFSHとLHのバランスです。

多嚢胞(たくさんの小さい卵子ができる事)自体は、たしかに周期を停止させる要因ですが、最近では遺残卵胞をきれいに除去できる方剤も市販されています。

一度卵巣がきれいな状況になれば後はホルモンのバランスを正していければ、つまり正しく体質改善の経過が辿れればFSHとLHのバランスも改善されてきます。

ある程度ホルモンバランスが改善されてくると元々PCOSで周期がバラバラの方でも30日くらいの一定周期で生理が起きるようになってきます。

そうなると夫婦生活のタイミングも読みやすくなってくるので妊娠の確率が上がってまいります。

 

遺残卵胞をきれいに消すためにも、ホルモンのバランスを調整していくためにも、まずは一度しっかり生理を起こし、生理周期をリセッツする必要があります。

内分泌系のバランスを正しくする

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の最も嫌なところは小さな卵胞がたくさんできて、卵胞の発育が止まってしまう事です。

一度停止してしまうとピルを使って生理を起こさないと、もうどうしようもないこともあります。

しかしこれもギャンブル性が高いガチャみたいなもの、リセットだけを何度も繰り返していると生理を起こした後で再度停止してしまう事も珍しくありません。

 

中医学漢方による体質改善、ホルモンバランスの調整が出来てくると、この卵胞の発育停止が起きにくくなります。

正しく一個の卵胞が発育し排卵が起きるようになってくるのです。

また多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方の中には周期を通じてずっと水っぽいおりものが出ていたり、あるいはおりものが殆ど出なかったりする方がいらっしゃいますが、このおりものの異常が改善されます。

排卵期になると卵白状のおりものが分泌され排卵が近い事がわかります。

それ以外の時にはほとんどおりものが少なくなりますので煩わしさからも開放される事と思います。

排卵誘発剤で疲労した卵巣の状態を回復させる

卵巣も元々人体内臓の一つですから、本来は適切な回復を促してあげられれば早期に健康な状態に回復が見込めるはずです。

 

しかし不妊治療の中で、特に病院では、反応が悪くなった卵巣に対してもっと強い、もっと刺激のある医薬品を利用します。

それこそ締め上げるように卵胞を無理に育てようとします。

刺激が強い医薬品を利用し、さらにはステップアップも兼ねてAIH、IVFと不妊治療も展開されていきます。

 

しかしもうすでに卵巣は疲労してしまっており、E₂の分泌力も落ちている状態で、質の良い受精卵がいくつも獲得できるはずがありません。

結果として刺激をすれば卵胞は20個近く発育しますが、実際に採卵してみると胚盤胞凍結できたのは1個だけ、という事になります。

20個発育したという事は、20ヶ月分の卵巣の力をその周期に使ってしまっているという事です。

胚盤胞1個だけでは割に合わないと感じます。

 

逆に病院側から「卵巣の反応が悪い、疲れてしまったようだから一度治療をお休みしましょう」と持ちかけられるという話は、今のところ聞いたことはありません。

 

この過剰刺激後の卵胞の活動停止は、放っておくと早くて3ヶ月から半年ほどの期間は自然に生理が起きてきません。

それだけ卵巣のエネルギーを消耗・枯渇させてしまっているという事です。

このような状態からでも、漢方なら比較的早く卵巣を元の状態へ回復を促し、刺激ホルモンのバランス調整を行い、卵巣周辺の環境改善を行い、定期的な生理周期へと回復する事ができます。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のまとめ

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は10代後半から好発し、40代を過ぎてくると自然と解消すると言われています。

これは女性ホルモンの分泌とももちろん関係しますが、食事の嗜好や、ストレスの受け方、その発散の方法など普段の生活とも大きく関わっている症状なのではないかと推測します。

 

ストレスで甘いものやジャンクなものを過剰に食べてたりしていませんか?

西洋医学的にはインシュリン抵抗性が高いということも多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断基準とされています。

習慣的に甘いものが多いということは知らずにインシュリン抵抗性が上がってしまっていても不思議ではありません。

あるいは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の多くの方が生魚(お刺身・お寿司など)を好きな事も特徴かもしれません。

もちろん生魚は嫌いという方でもPCOSになる方はいらっしゃいますが、私の元へご相談に来られた9割位のお客様は生魚が大好きという方でした。

中医学では生魚は胃腸を冷やし、腸で膩滞します。

カラダのリズムを滞らせる食材でもあるのです。

生魚が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と無関係であるとは思えない状況です。

 

卵巣の状態改善には漢方薬の正しい運用はもちろんですが、こういった普段の生活の問題点を改善することが欠かせません。

もし多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でお困りでしたら、当薬局にご相談下さい。

普段の生活習慣の問題を見つけ、お客様の体質に則した漢方で正しく体質を改善いたします。

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