子宮内膜症

子宮内膜症は子宮内膜組織が生理で剥がれ落ちる際に外に排泄されず、卵管を逆流、卵巣や卵管など子宮以外の粘膜部位に漂着・増殖する病気と考えられています。

子宮内膜症が最も多く起こるのは卵巣、他にダグラス窩・仙骨子宮靭帯・膀胱子宮窩など。

子宮周辺部で、多臓器との近接部位や狭窄部位に頻発します。

しかし腹腔はもちろん、横隔膜を超えて肺や口腔、はては鼻の粘膜などまで飛んで異所性内膜症として発症する例もあります。

子宮内膜が子宮外に出て活動を行い、出血・炎症などを起こしているものを「子宮内膜症」

子宮を覆う筋肉である子宮筋層内に子宮内膜が浸潤した病変を「子宮腺筋症」。

卵巣内に子宮内膜組織が発症し、卵巣内に血液が溜まり卵巣が大きく腫れてくる病変をチョコレート嚢腫（のうしゅ）」と呼んでいます。

子宮内膜組織は子宮外でも月経周期に合わせ増殖や剥離を行います。

そして子宮内膜症の進行に伴い様々な症状を引き起こします。

子宮内膜症症状で特徴的なものを記載します。

✔ 強い生理痛

✔ 過多月経/生理がダラダラ長期間続く

✔ 経血の色が暗赤色〜黒い色になる

✔ 不正出血

✔ おりものに出血が交じる/茶オリが頻繁に出る

✔ 性交痛

✔ 生理期間中の排便痛

子宮内膜症になると生理のたびに痛みが強くなって行きます。

鎮痛剤などによる止痛効果は弱く、腹痛だけでなく肛門や下腹部の方まで痛みが放散していきます。

この腹痛は生理時以外にも排卵期に痛む事もあります。

基礎体温を見ると生理が来てもあまり体温が下がりません。

36.5°以下まで基礎体温が下がるのは生理が終わる頃に来てからです。

生理も一回の出血量が多く、症状が進むと不正出血も頻繁に起こし、慢性的な貧血を呈するほどになります。 

卵巣に炎症がある事で炎症性ホルモン”サイトカイン”も分泌され、基礎体温が上下にジグザグしたり、卵胞の発育や排卵までの日数が安定しなかったり、不妊の原因としても大きな要因となります。

心当たりがある場合は漢方相談中でも一度専門医の受診をお願いしています。

中医学的には子宮内膜症は瘀血や気滞などの「実証」と、血虚や陽虚などの「虚証」が混在する「虚実夾雑症」と考えます。

店頭のご相談では実証と虚証の両方に対して行いますが、お客様の体質に合わせてどちらにウェイトを置くのかがポイントになります。

子宮内膜症による痛みや不正出血が強いようであればまず実証に対する漢方を。

冷えや下痢、貧血などの虚証が強いようなら虚証の改善を行う漢方を優先します。

血流を改善し子宮内膜の状態を整え、癒着や卵巣の腫れ、瘀血の度合いや子宮周辺の冷えの解消など。

その方の状態に合わせて対応を進めていきます。

漢方での子宮内膜症治療では、生理を安定した状態に改善しながら子宮内膜症とそれに関連する症状（生理痛や不正出血、基礎体温のムラが大きい状態や下肢の強い冷えなど）を整える事が可能です。

子宮内膜症・チョコレート嚢腫・子宮腺筋症の改善と同時に、子宝への体質改善を進めて行く事が可能です。

痛みに関しては2〜3周期、子宮内膜の状態や不正出血に関しても3周期前後で大体整います。

癒着による両側卵管閉塞や卵管采のピックアップトラブルがなければ、この時点で自然妊娠の希望も出てきます。

体質に合う漢方薬で症状の改善ができたら、生活習慣の改善にも着目します。

疲労、寝不足、ストレス、プールなどで体を冷やしてしまうと、痛みを中心とする症状が再燃することがあります。

良い状態を続けてキープしていくためには、漢方薬だけでなく生活習慣の見直しが絶対に必要です。

子宮内膜症の起因要因になっている体質と、生活習慣の改善を図るのが山崎薬局の子宮内膜症相談です。

症状がほとんどなくなった後は、最低限の自分を良い状態に保てる漢方薬を続けて頂ければ子宮内膜症の再燃は予防できています。

普段より自分の体質を把握しましょう。

疲れや冷えで何かの症状が出る方は、必要以上に疲れたり冷えたりしてはいけないのです。

症状の悪化につながるような習慣さえ留意して頂ければ子宮内膜症はコントロール可能な疾患です。

個人的には不妊相談の方で子宮内膜症併発の場合、お腹の痛みと卵巣の腫れが早い段階で改善出来るのであれば、その後は子宝を優先した方が良いと考えています。

出産に伴い、この子宮内膜症関連の症状が劇的に改善する事があるからです。

いずれにせよ強い生理痛や出血過多など気になる症状がある方は最初に子宮内膜症の検査をされる事をお奨めいたします。

もし検査で子宮内膜症があるとなった場合、病院では手術を除けばピルを利用して生理を止める選択肢しかありません。

しかしピルで生理を止めてしまっては子宝を得ることができません。

また人工授精や体外受精採卵時に利用する排卵誘発剤は、炎症がある卵巣の痛みや腫れをひどくするばかりです。

漢方であれば症状の改善をしつつ生理周期や体調を整え妊娠できる状態に整えていくことが可能です。

子宮内膜症併発で子宝の希望があるなら、まずは漢方相談を強くオススメします。

炎症や腫れが引けば、病院で行う不妊治療もスムーズに進められます。

最後まで漢方で妊娠を目指さずとも、漢方と西洋医学的な治療をうまく併用していただくのが理想的です。